「黒猫ミンク 立ちどまる」と読んだ時、「こうのとり、たちずさんで」という映画のタイトルをぼんやり思い出した。音が似てるな、と。学生時代にこの映画のチラシをもらい、結局観に行かなかった。そういえば...とチラシのストックからダメ元で探してみたら、ありました!びっくり。
テオ・アンゲロプロス(link)の作品です、とは言え彼のことを詳しくは知りません。裏面のあらすじには国境警備兵の台詞も。「翔んでよそへ行けるか、あるいは死か、それが国境だ」とある。国境、国境、国境...と、ここで思い出したのが先日読んだアゴタ・クリストフの「悪童日記」。 父と双子の息子たち。双子の一人は越境に失敗した父の屍を踏み向こう側へ、もう一人は国境を越えず自宅へ、というところで話が終わってしまう。三部作を原書で借りていて、二冊目も読もうとしたけれど...フランス語で読んでると、悲しいかな前へなかなか進まない。そこで、追加で日本語訳も借りてきました。こんなんやから進歩せえへんねやん、語学!と反省するも、先が気になるので日本語で(ぉぃ)。 「悪童日記」の舞台はどこか、作品中には正確に示されていません。クリストフがハンガリー動乱からの亡命者であることや、終戦後「統帥者の写真が、至る所に掲げられている」という表現が出てくることを考えるとハンガリーではないか、という解釈を読みました。「統帥者」とはスターリンのことだろう、と。 スターリンで思い出すのは、ショスタコーヴィチの四番(link)です。これが作曲された頃はスターリンが粛清を活発に行っていた時代、ここまで前衛的だと目をつけられそうで怖いなあ。実際、ショスタコーヴィチはこの曲の初演を取りやめ、その後何年も演奏されないままだったそう。 私がこの曲を初めて聴いたのは、十年もっと前にN響アワーもしくは芸術劇場で。力強さと奇怪さが同居する不思議なメロディが凄く気持ち悪くて、次の日CDを買いに行きました。「コワイモノミタサ」の感覚に似たもんなのかも?私は、この独特のおどろおどろしい所も好きなのですが...
by etcaetra
| 2009-06-29 23:41
| ふりかえりがたり
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ご挨拶
Kahori YAGI
Kahoring(かほりんぐ) 1974年3月生まれ 京都府出身 東京都在住 写真を撮っています こちらで御覧いただけます twitter : etcaetra flickr ID : kahoring Instagram : yagi_kahori カテゴリ
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